小学一年生で
突然
現れた症状
明るく人懐っこかった幼少期
私は、祖父が創業したタオル問屋の長男として生まれました。幼い頃は、ひょうきんで人懐っこく、近所の商店のおじさんと仲良くなって、お菓子をもらうような明るい子どもでした。4人兄弟の長兄だったので、家の中では内弁慶で、親分肌だったように思います。
大きな転機が訪れたのは、小学校1年生の時でした。近所の床屋で髪をきっていたら、突然十円ハゲがいくつもできていました。床屋さんが慌てて母を呼びに行ったのを覚えています。原因不明の円形脱毛症。小学校1年生で様々な環境が変わる中、どこか心がついて行かなかったのかもしれません。
症状は日に日にひどくなっていき、最終的には髪の毛も眉毛も一本も無くなってしまいました。母に連れられて、大学病院を転々としましたが、原因もわからず、毎週学校を休んで病院に通っても治療効果もほとんどなく、中学校を卒業する頃まで改善されませんでした。
周りの視線が気になって仕方ない
円形脱毛症は、それまで人懐っこい性格だった自分をすっかり変えてしまいました。どんな時も帽子が手放せなくなりました。教室で前の方の席になると、後ろの席に座っている人の視線が気になって仕方ありません。特に、学校外行事では「他の小学校の児童から笑われているんじゃないか」と気が気じゃありません。
自分が居ることで「一緒にいるクラスメイトにも恥ずかしい思いをさせて申し訳ない」と思い悩むことすらありました。
円形脱毛症で低くなってしまった自己肯定感は、心が揺れ動きやすい今の自分の性格を形作ったようにも思います。病気のことを忘れられるときは極端に自信があり、病気が前面に出ると極端に自信がない子どもでした。精神的な振れ幅の大きさは、今もそのままかもしれません。